図書館と文庫本
2017年10月20日の東京新聞朝刊に図書館と文庫本についての記事が載っていた。
それによると、最近文庫本が売れないのは図書館が文庫本を貸し出すことに影響すると
言った発言が「文芸春秋」の社長からあった。私はよく図書館を利用する。本を手あた
り次第借りては読んでいるし、新聞、雑誌も目を通す。なので図書館が充実しているこ
とに本当に感謝しているし無くなってはとても困る。本が売れなくなってきているとい
うのは事実だろう。この記事を読む限り、この発言も少し歯切れが悪いと思う。
抜粋すると、
「確たるデータはないが、近年、文庫を積極的に貸し出す図書館が増えている。それが
文庫市場低迷の原因というつもりはないが、少なからぬ影響はある。文庫の貸し出しを
やめていただきたい」
・確たるデータはない
・原因というつもりはない
・少なからぬ影響はある
よって文庫の貸し出しをやめていただきたい
この発言だけを切り取りあーだこーだ言うのは正しいことではないのだが色々と思って
しまう。この社長の発言はずいぶんと控えめに言っていて少し弱気なのかなという感想
だ。しかし発言の声のトーンや表情は活字からはうかがえない。新聞に取り上げられて
しまい賛否が噴出している。
この記事では、ある識者によると影響は図書館ではなく、書店が減ってきているからと
一刀両断している。またとある識者は、批判覚悟の図書館問題提起が目的だと分析す
る。後者の問題提起が目的の発言だとすると新聞やマスコミに取り上げられ世論に議論
を起こさせたという意味で成功である。
一度、実験的に図書館で文庫貸し出しを辞めて、その結果どうなるかということを検証
してみたらどうだろうか。「もう絶対に文庫貸し出しのせいとしか考えられない。図書
館には貸し出しすることをできないようにしたい」とはやっぱり言えないだろうな。