江ノ島 その10
今回の旅のクライマックスである。海を見に江ノ島へ来たのだが江ノ島は海だけではな
かった。とても魅力的な島は海だけではない。島全体を見に来る価値があった。振り返
ればここまで来るのに長かったとは思う。しかし現地では長いとか、疲れてもうだめだ
といったネガティブな感情は全く持たなかった。目に入るもの全てが楽しく、疲れは都
度吹き飛んでしまった。そして海だ。正直に言えば海を見るまで確かに肉体的な疲労は
あった。しかし、海を見た瞬間それは消えたのである。この感覚は何なのであろうか。
考えるに、生物にとって海は根源的な場所である。やはり意識の及ばない生物の遺伝子
のどこかに作用するのではないか。恐らく脳内にある快感物質が分泌されているのだろ
う。
岩にはりつく一枚貝。
釣り人、絵になる。
江ノ島駅方面への船を待つ人々。船に乗ればあっという間に駅へショートカットでき
る。ここから歩いて帰るのは確かにきついが、私は来た道を戻る徒歩を選んだ。最後の
最後まで江ノ島を歩いてみたかったからだ。
次回、「江ノ島」最終回。