江ノ島 最終回
とうとう江ノ島から離れることになる。達成感と一抹の寂しさを味わいながら道を戻
る。しかし疲労はピークを迎えている。また来た道を戻るのかと思うと少し気分が萎え
るが、同時に少しハイにもなっている。この脳の現象は何なのだろうか。疲労からくる
体のブレーキに対し脳内物質を分泌しもうひと踏ん張りさせようとしているのだろう
か。
もうじんわりと空が闇に溶けだしている。この夕暮れの江ノ島もまた雰囲気が違い一興
だ。寂しさと神社の厳かな空気、それに潮風が混じるとここは一体どこなのだろうかと
ふと思ってしまう。もしかしたら江ノ島の本当の味はこれからなのかもしれないと思い
つつ足を前へ踏み出す。しかし相変わらず人の数は多いので安心したりもする。
ようやく島の出口近くまで来ると、お土産を買う人たちで活気を取り戻していた。私も
記念に貝がらの詰め合わせというか小さなセットを買った。これで江ノ島の話はお終い
である。この島は二回、三回来るたびに味がでるのではないかと思う。なぜなら江ノ島
には海があるからだ。
江ノ島よ、また会う日まで。