重労働と引き換えに
先日、近くの八百屋で珍しいものを見つけた。ココナッツミルク、椰子の実である。表
示にはベトナム産とある。やはり南国の果実は日本では商売ができる程の栽培はしてい
ないのであろうか。国産が安全という意識はあってつい外国産は避けたりしてしまうが
商品によっては外国産の方が価値が高いと思ってしまうものもある。ココナッツミル
ク、中国福建省産のウーロン茶、フィリピンのバナナ、ブラジル産のコーヒー等々。私
の勝手なイメージで本当のところを突き詰めたら安心とか安全なんてのは分からない
が。
ココナッツミルクを買ったはいいがどうやって飲めばいいのか分からない。
以前にベトナムで飲んだときには実の真ん中に穴が開いていてストローがささっていた
のを覚えている。しかしどうやって穴を開けるのだろうかとしばらく考えてみたが良案
は浮かばず包丁で穴を開けることにした。
恐ろしく硬い。包丁でたたくのだが数ミリしか削ることができない。これは途方もない
作業である。特殊な道具が必要だとは思うが包丁しかない。
結局包丁で開けたのだがもう疲労困憊である。味は重労働と引き換えに素晴らしい清涼
感あるやさしくさっぱりした甘みの飲み物だった。ココナッツミルクという果実は穴を
開ける重労働とセットになった素晴らしい飲み物であった。