「もう一つの祖国 戦後70年 祖父はベトナムに残った(朝日新聞過去記事から)」 最終話
朝日新聞縮刷版 2015年7月27日の記事を読んだ感想である。
旧日本兵の元山さんは83歳で亡くなった。亡くなる直前までベトナムへ帰りた
いと話していた。娘はその思いを実現するために元山さんの遺骨とともにベト
ナムを訪れた。その後、兄、母も他界しベトナムとのつながりが薄れていくよ
うだった。しかしハノイには姪にあたるホアイさんがいる。日本人の眼科医を
支えるホアイさんと将来、日本料理店を経営する夢がある。日本とのつながり
を途切れないように、そんな想いがある。
戦後70年が経ち日本とベトナムの関係も大きく変わった。日経企業が増え、外
務省が行った世論調査では日本は最も信頼できる国となっている。もう日本人
をファシストと呼ぶ人たちはいない。ホアイさんは日本兵の孫であることを誇
りに思っていると言う。戦争のせいでバラバラになった残留日本兵の家族の分
まで日本との縁を深めたいと話している。
戦争がありそこにある事実があった。ある人たちに起きたある事実。その事実
を知り考える。何を考えるかは人それぞれだろうが、絶対的に悲しい事実は存
在する。進んで悲しい選択をする人はいないだろう。極論を言えば人は経験し
たことしか考えられないし実行できない。しかし想像することはできる。想像
するには情報が必要だ。情報を知らないために想像ができないということは十
分に起こりえる。想像を欠いた時に悲劇は起こる、ということが今回私がこの
話を読んで考えたことである。是非、朝日新聞縮刷版を閲覧しこの記事の原文
を読み考えてほしい。